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タクシーの転職には未経験者も心配は不要

最終更新日 2021年3月8日

監修・著者 株式会社しごとウェブ 佐藤 哲津斗

最近、多くのタクシー会社が、大学卒などの新卒を数多く募集しているのをご存じでしょうか。

以前は、同業他社からの移転が非常に多かったタクシー会社への就職ですが、今は会社の方が積極的に運転手未経験者を探している状況です。

それは、何故でしょうか。以前までの常識では、タクシーと言うと、運転手の勘や顧客、もしくは流しによって客を拾い、売り上げを上げるというのが仕事の大半であり、それが「タクシー運転手」の仕事でした。

しかし今、以前にもましてタクシー業界の競争が激化しており、売り上げを上げるのが簡単では無くなってしまったのです。新規参入への敷居が下がったことで、続々とタクシー業界に参入してくる企業も増えています。

そのため、各社は他のタクシー会社との差別化が求められるようになり、接客マニュアルやサービス内容もそれぞれの会社で独自に編み出すようになってきました。

それに伴い、他社時代の経験や仕事のやり方が、次の会社では使えないことも多々増えてきたのです。会社側からは、一度他の方法で出来上がってしまったものを、矯正する必要が出てきたということになります。

見方によっては、全くの未経験の方を教えるよりも難しいことです。そのような理由から今、タクシー会社は、全くの未経験の方を積極的に探すようになっているのです。

そのような会社側からは、運転手業務は未経験だったとしても、やる気にあふれている方の方が、とても魅力的に映るのでしょう。

必要な資格は?

タクシーを運転して人を運び、その報酬としてお金をもらうというプロセスのためにまず、欠かせない資格が二種免許です。これは正式には普通自動車二種免許というのが正式な名称です。

これは一種免許(ごく普通の自動車運転免許)を取得してから3年が経過することによって、取得するための資格が得られるようになります。

多くの会社が新卒を募集していると上述しましたが、高校にはその募集が届かないのはそのためです。大学でも3年生、4年生の時に免許を取得したような方は就職が難しくなるかもしれません。

ちなみに、大手であればほぼ100%の状況になっていますが、ほとんどのタクシー会社が入社後に二種免許を取得するためのサポート体制を持っています

マイナス面としては、その後平均2年間程度の縛りがつくという事で、つまり2年間の間に辞めてしまうと、免許取得費用が請求されるという点が考えられます。

事前に確認する必要がありますが、それ以外の違約金などが発生することは一般的には無いので、これがネックになることは少ないでしょう。東京23区内で働く場合、「タクシー運転者地理試験」という試験を合格し、タクシー乗務員証の交付を受ける必要もあります。

この場合は運転免許とは違い、ひたすら暗記あるのみの試験問題となります。タクシー会社には、問題例集なども置いてある筈です。ちなみにこれは、道路の名前、地名、観光地にもなるような有名な建造物や公園、駅の場所などを答える筆記試験です。

80%の正解率で合格となり、落ちても何度でも挑戦することが可能です。会社によっては、無線を使用するための資格などを別個に要する場合もあるのですが、全て効率よく取得するためのカリキュラムが準備されているので、心配する必要はないでしょう。

自分が運転手に向いているのか気になる方へ

よく求人誌などを見ると「誰でも簡単に稼げる!」と出ています。しかし実際に自分が他の方と同じように稼ぐことが出来る保証はないので、この部分は「やってみなくては分からない」ともいえます。

では自分がタクシー運転手に向いているのかを判断するために、どのようにしたら良いのでしょうか?

この点はまず、体調面から考えましょう。通常の他の仕事のように8時間で終わるというシフトの選択肢や、最長で21時間のシフトを選択できる会社もあります。

しかしこの時に問題となるのが「眠気」です。特に体調に不調があって、副作用で眠くなるような薬を服用している方の場合には注意が必要です。

タクシーの仕事に限らず、建設関係であったり、危険な機械を利用するような仕事に就く場合でも、一度安全性について考える必要はあるでしょう。

また持病で腰痛に苦しんでいる方も注意が必要です。長時間座り続ける仕事柄、まったく腰に問題がない方でも痛くなることがあるほどです。

逆に向いている方はどのような方でしょうか。人柄的に社交的な方、そして空気が読める方、向上心のある方です。勤務中の多くの時間を、ほぼ初対面の方と過ごす仕事となるので、あまり人と関わるのが好きではない方は、次第に辛くなってくることがあります。

逆に、人と関わるのが好きな方によっては、非常に楽しい仕事です。ただ、乗客の中には話しかけられたくない方もいて、それは「空気を読む」という能力によって察知する必要があります。

ただ人が好きな方は、まったく会話がない車内だったとしても、乗客を観察するだけでも楽しくなるでしょう。そして向上心は欠かせません。これは売り上げにつながる様々な情報を見逃すこと無く、自分のものにしていく能力です。

この曜日のこの時間はここに人が溢れる、今日はここで有名人のライブが行われている等々、そのような情報を欠かさずチェックするような方は長続きするものであり、そして売り上げにもどんどんと反映されていきます。頑張っても報われないことは、どのような仕事にもよくあることです。

しかしタクシー業務に関しては、努力が結果に密接に関わる職種です。だからこそ努力家には非常に向いている職種と言えるでしょう。

慣れるまでの給料が気になる!

ただ、未経験で免許もない方の場合、当然最初から業務に出ることは出来ません。

すると気になってきてしまうのが給料の問題でしょう。タクシー業務は、給料の最低保証が用意されているものですが、ほとんどの場合、売り上げによって収入は大きく左右されるものです。

しかし、面接でもこの部分を直接聞きだすのは難しいかもしれません。この部分は大手のタクシー会社の求人などの場合には、細かく説明されていることもありますが、基本的に最初の1~3か月は給料保証が付く場合が多いようです。

もちろん金額は一律ではありません。会社によっては18万程度の金額の場合もあって、24万の手取りを保証するという会社もあります。大きな会社はそれが最初の3か月、4か月続くということも珍しくありません。

やはり最初は、免許の取得で自動車学校に通ったり、他の資格を得るために、別の場所に出向いたりもします。会社で様々な種類の研修も受けなくてはならないでしょう。

このような期間は基本的に全て手取り額が保証されています。ちなみに上述した「向上心」ですが、勿論このような研修を受けている時の姿勢、そしてその情報をどこまでしっかりと自分のものにするかについても関係します。

まだ仕事に出掛ける前ではあるものの、この期間をどのように過ごすのかが、業務スタート後の売り上げにも大きく関係するのです。

「タクシー会社=ブラック企業」は事実か

世の多くの人の中には、今だに「タクシー会社は全部ブラック企業だよ」ということを平気な顔をして言う方がいます。

これが一人だけ、二人だけの場合には、まったく意に介することもありませんが、10人、20人になってくると話は別です。やはり心配になってくることもあるでしょう。

では、タクシー会社は本当にブラック企業なのでしょうか。まず、ブラック企業と呼ばれる会社がどのような会社なのかを簡単におさらいしましょう。

例えばサービス残業が多い、頑張れば出来る、などのように精神論で押し通す、離職率が高い、といったいわば従業員を使い捨てにする会社がブラック企業と言えます。

ではタクシー会社は、こういった点でどうなのでしょうか。まずは残業の部分ですが、終業間際に乗客を乗せてしまって帰れない…といったこと以外に残業は基本的にありません。

決まったシフトで始め、そして決まったシフトの時間に終わります。人のいる場所の情報を集める、顧客を作るなど、理論によって売り上げが上がるものなので、精神論が入る隙間はありません。

基本的に教育と免許取得費用に経費が100万単位でかかる事もあって、同じ従業員には長く勤めてもらった方が会社にも得なので、使い捨てにする事は有り得ません。大手などの福利厚生の整い方は、他の職種の大企業にも引けを取らないほどです。

良く「長時間勤務させられる」という情報が上がりますが、これは基本的に自分で選ぶことです。しかも長時間勤務の後はまる一日以上の休みになります。人によっては週に2回半の勤務で趣味も楽しみながら、年収も1000万近いという場合も少なくありません。

自分のスタイルにあった働き方が、ここまで自由に出来る職種も少ないのではないでしょうか。どの日に長時間勤務をして、どの日が通常の日中勤務にするかを最初に指定できる会社もあります。

「タクシー会社は全部ブラック企業」どころか、実はとても従業員の働きやすい環境が整った「隠れホワイト企業」とも言えるでしょう。

タクシー会社でも出世とかってあるの?

ずっと運転しているだけのタクシー運転手に、「出世」は無縁と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし実は他の企業のように、しっかりとステップアップの道があるのです。大きな会社になってくると従業員たちを班分けして、その上に責任者を置くことが多くなります。

他の企業であれば「係長」のような位置づけでしょうか。さらにその上に「課長」のようなポジションが置かれている場合もあります。また会社によってはタクシーの上のクラスとして「ハイヤー」を所持していることが少なくありません。

殆どの場合は黒の高級車です。勿論料金も割高になる事が多く、自動ドアではなく、運転手が乗客のためにドアを開閉します。ハイヤーを予約するのは、顧客の中でも特に重要な人々です。

だからこそ会社も信頼できる方に運転を任せるようになります。つまり、タクシーの運転から、ハイヤーの運転を任されることも一種の出世と言えるでしょう。もちろんそれは、給料にも反映されます

またこのような現場業務から、内勤の配車係になり、運転手たちに指示を出す立場になる事も出世とみられます。ハイヤーの一種のようなもので、大きなワンボックスで観光業務を請け負っている会社もあります。

タクシードライバーとして慣れてくるにつれて、さらに様々な選択肢があることに気づくでしょう。

まずは話を聞きに行ってみよう

最近では、新卒で募集をかけることが非常に多くなったという話を、最初にしました。しかし、もし魅力がないような職種であれば、募集をかけても誰も来ないのが関の山です。

では新卒で、どれ程の大学生がタクシー会社に集まるのでしょうか。実は、会社によっては100人規模で新卒を取っている所もあるほどで、今大学生から非常に注目されている職種なのです。

「駅前で客待ちをしながら雑談する、くたびれたオジサンたちの仕事」という一昔前のイメージを、今や脱却しつつあるのが新しいタクシー業界なのです。

独身向け、家族向けの社宅を備えている会社も少なく無くなっており、運動や趣味といったクラブ活動に力をいれている会社もあります。

「タクシー会社は全部ブラック企業」と言っている方は、おそらく若干の時代錯誤をしているのでしょう。ただ、間違った事実がまかり通っていたり、誤解が沢山あるのも事実です。

その場合、ネットで100個の情報を集めるよりも、実際に直接話を1度聞く方が価値があると言えます。大手のタクシー会社は、定期的に説明会を開催しており、納得したら、その場で面接出来ることも少なくありません。

説明会では上述したような資格取得に関わる話、また勤務体系、給料体系などについて、細かく聞くことも可能です。

この記事で取り上げたのは色々な会社の例ですが、このような説明会では、その会社特定の情報も得られるでしょう。もちろん質問をすることも可能なのですが、お金の話などはどうしても聞きづらいものです。

しかし会社側も当然、どのような話を一番聞きたいかは理解しているので、質問コーナーの前にまず一通り説明してくれることも少なくありません。

例えば求人誌など、タクシー会社からの情報のところには、近々行われる予定の説明会の時間や場所が書かれています。

ぜひそれらをチェックして、まずは納得いくまで情報を収集してみましょう。なぜ彼らは積極的にこのような説明の場を設けるのでしょうか。

それは、仕事を探している方、全てに納得してから入って欲しいからなのです。入社後に困惑することが無いように、もしくは少しでも長く働いて欲しいからなのです。

彼らが積極的に説明会を開いていることこそ、未経験者でもまったく心配なく働けることの一番の証拠かもしれません。


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