タクシー転職時の入社祝い金のからくりとは
最終更新日 2021年3月8日
監修・著者 株式会社しごとウェブ 佐藤 哲津斗
タクシーの仕事は、今から、もう一度人生をやり直したいと願う時、もしくはもっと他に稼げる仕事に就きたいと願う時、タクシー運転手は非常に注目される職種と言えます。高額な入社祝い金が支給してもらえる会社も多くとても魅力があります。
やはり何か特別な経験が求められるわけでは無くて、工事現場などの仕事の様に、多くの体力を消費するわけでもないので、40代や50代の方でも十分始められる職種となっています。
入社後に取得が求められる資格は多数あるのですが、就職時点では自動車の普通免許を持っているだけで大丈夫という、資格面での簡易さもあります。
努力によって、どのような方でも、600万円前後の年収を狙えるといわれる職種であり、人生の一発逆転にはもってこいの仕事と言えます。
ただ問題は、どんな変化を起こすにしても、最初は出費を要するものです。もしその費用を捻出できない時は、諦めるしかないのでしょうか?
タクシー運転手になるための最初の壁は
タクシー運転手への転身を考える方によって、なおさら最初の壁としてお金の問題を抱えるのには理由があります。タクシー運転手は、絶対的に都会の方が儲かる仕事です。そして運転手への転身を考える人の多くが、地方出身者なのです。
タクシーの運転手が年収600万円越えを狙えるのは、あくまで東京や大阪、横浜などの大都市にすぎず、逆に田舎へ行くほどに、平均給与は下がっていく事が普通です。
まず人口の絶対値が違うこと、また自家用車を使わずに移動した方が便利という都会の常識も、田舎では通用しないため、まず皆が自家用車を持っている事が一般的です。
だからこそ、タクシー運転手をするとしたら都会が良いと言われるのですが、そうなるとまず面接を受けに行くだけでも出費を要することになります。
車で行くにしても、公共交通機関を用いるにしても同様です。また距離によっては面接だけで、泊まりをしなくてはならないかもしれません。
そうなると、駅でホームレスのようにするわけにもいかないので、近くのホテルを利用することになります。実際に面接で受かって「では何時いつから働いてください」となった場合にも、今度は会社の近くで住宅を探したり、またその初期費用を支払ったりなどと、さらに大きな出費が必要になるでしょう。
勿論それが支払えるよ、という人も沢山いらっしゃるでしょうが、それでも痛い出費になることに間違いはありません。そんな最初の壁を乗り越える助けになるのが、「入社祝い金」や「支度金」などの援助金です。
支給される制度について
入社祝い金や支度金の制度は、当然タクシー業界だけの話ではありません。企業によっても差はあるものの、特に上述したように、地方からの入社希望者が多いような職種では、聞かれる事の多い制度です。
給料というのは、働いた対価として得られるものなので、最短で受け取るのは約1か月後もしくは2か月後ということになります。
しかしそれまでの間無収入なのは、どうしても厳しい…という場合の救済措置として、このような入社祝い金、もしくは支度金という制度が置かれるようになりました。
平均的に5万円から10万円という金額が多いようです。会社の規模にもよるものの、まず入社と同時に社長からの手渡しでもらえるもので、「おこずかい」的な要素が強い制度でもあります。
会社側からの視点では、この制度を利用しての従業員の確保、もしくは入社後の定着を促す狙いもあります。
中には「一定期間以内にやめた場合は返却」というような取り決めを持っている会社もあるのですが、主にこのお金は、早期退職した場合には本人の道義的な決定にゆだねるものの、返却義務のない場合がほとんどです。
支度金という名称からも分かる通り、新生活に向けた準備をするためのお金という意味合いもあります。こんな制度があるという事を、最初から大々的に宣伝している会社も少なくありません。また場合によっては、利子が非常に低い、もしくは一定期間は無利子という、貸付金制度を持っている会社もあります。
「支度金の他にもし必要であれば最大50万円までを援助」という形です。50万円があると、探し方によっては、会社の近くに手ごろな家を見つけることも可能となるでしょう。返済は給料から差し引かれる形が殆どなので、極端に本人の負担になるということも無いでしょう。
唯一注意が必要なのが、もしすぐに会社を辞めることになった場合には即時返却、もしくは法定金利いっぱいの利子がついた貸付金という形になるので、負担が増えることになってしまいます。
現金は、会社の社長から直接渡される場合がほとんどです。「頑張りなさい!」という激励と共に手にすることになるでしょう。
2か月後、もしくは3か月後にもお祝いボーナスがあるという会社もあります。タクシー運転手として、むしろどの仕事もそうなのですが、最もつらい時期がやはり最初の3か月で、辞める人の大半はその山を乗り切れなかった人たちです。
反対に、この辛い時期をしっかり乗り越えてしまうと、後はとても楽になる事が普通です。この山を乗り越えるための燃料ないしモチベーションとして、こうした支度金制度、もしくは3か月経過によるお祝い金制度が使われているという現状があります。
どこから支給されるのか
上述した通り、ほとんどはその勤め先の会社から支給されるになります。
ただ場合によっては、転職支援会社やインターネットのサイトから支給される場合も少なくありません。
当然彼らはあなたを会社に紹介し、就職できた時点で、会社の方から支払い報酬を得ているので、言ってみればその報酬の一部を本人へキックバックするということになります。
サイトなどによっては「20万円の入社祝い金を支給」という広告を出していることもあります。しかし実は、この20万円を全て転職支援会社が出しているわけではありません。
「最大」という意味は金額が状況によって変わるということを表しているのですが、転職支援会社が出す金額は、どの人に対しても一律です。
タクシーの仕事は、
5万なら5万と決まっているのです。では残りは誰が出すのか?というと、就職する先の会社です。その会社次第になってしまうので、最大20万円という書き方になるのです。
ちなみにもし、転職支援会社を通して受け取った場合、恐らく就職後に会社から支度金が手渡されることはないでしょう。既にタクシー会社の方は、支援会社を通して支払っている事になるからです。
「タクQ」を使った場合には、両方もらえたりするようです。
転職支援サイトを利用する利点
上述した通り、転職支援会社やインターネットのそのような類のサイトを利用することによって、支度金の上積みを狙うことも可能です。両方からお金を受け取ることが出来るからです。
やはり新生活を始めるにあたってお金は必要となるので、ケチになる必要もありませんが、上手に貰えるものは貰うようにしましょう。また転職支援サイトによっては、就職が成功する前段階から、様々な援助を行うことをウリにしている所も少なくありません。
特に転職希望者に地方出身者が多くなる東京圏の転職支援サイトは、電話面接が可能な会社での面接を設定することで、上京する負担をなくしてすぐに面接が植えられるようにしてくれるというという仕組みもあります。
北海道や沖縄などの遠方の方でもこれなら気軽に応募して、面接を受けることができるのでとても便利といえます。
また各社、最初の3か月を超えさせるためのボーナスを準備していることが多いという話をしましたが、転職支援サイトによっては、そうした仲介業者の方も出来るだけ最初の3か月を超えさせようと努力します。
やはり紹介した人が、一人でも多く長期にわたり勤務を続けて、会社の利益になり続けるとなると、自動的にタクシー会社と紹介した仲介業者のパイプもさらに強固なものとなるからです。
仲介業者の方からも3か月ボーナスがある場合や、また勤務の仕方に関するアドバイスや、困った時や、辛くなってきたときの良い相談相手となってくれる場合も珍しくありません。
また、幾十社とも取引を交わす転職支援会社であるため、どの会社がより高額な支度金や入社祝い金の制度を持っているのかも、当然知っています。最初だけでなく勤続日数に応じてさらに支払われますよ!という情報も持っているかもしれません。
まったくゼロの資金からスタートする人にとっては、そのような情報は、非常に重要なポイントになるでしょう。しかし、もし自分だけで各社に就職活動で面接をする場合は、非常に聞きづらい部分でもあります。
だからこそ、最初に担当者から話を聞いてから、応募する会社を決められる転職支援サイトの存在は、転職者にとって非常に大きなサポートとなるのです。
制度の利用だけを考える前に
タクシー会社が提供する入社祝い金や、新生活への支度金という制度は、その仕事を長く続けてほしいという会社からの願いが込められています。だからこそ、山のようなタクシー会社の中から面接する会社を選ぶ側も、自分に合った会社を上手に選びぬく必要があるのです。
一度面接を受けてしまうと、その後に合格させる、合格させないは彼らの側の選択です。しかしそれ以前の、どこの会社を受けるかを選ぶのかは、労働者側の権利です。沢山の給料が得られるという事だけで判断してしまうと、後から苦労してしまうことにもなりかねません。
例えば、勤務体系や給料体系、ボーナスの仕組みなども、各社でかなり変わる部分があります。福利厚生にも大手や中堅どころ、また零細のようなタクシー会社では大きな差が出てくるかもしれません。
会社によっては、ベテランのタクシードライバーでは大きな収入を得られるような仕組みになっていても、まったくの新人には難しいような体制を取っている場合もあります。
歩合の割合を高く、そして基本給を非常に低く設定している場合もあったり、また経験のない新人に向けて最初の数か月は給与保証をしている会社、まったくそういった取り組みがない会社もあります。仕事以外にも各社の福利厚生の部分で差が出る所は沢山あります。
各地の温泉施設や保養施設を安価で利用できる体制を整えている会社や、従業員で作る趣味のクラブが沢山ある会社もあります。例えば、クラブには野球やボーリング、釣り、登山などがあります。
グループ内にある飲食店、百貨店の支払いが、従業員割引という形で大幅に引かれるような、大手の会社も少なくありません。
まったく趣味がなく、とにかく稼ぐために働きたいという人には、このような仕組みは不要かもしれません。逆にタクシーの仕事を超えて、様々な趣味を楽しみたい、休日はいつもお出かけしたいという方には、これらの福利厚生サービスは、非常に魅力として感じられるでしょう。
そのような沢山の要素を、総合的によく考え、応募する会社を最終決定しましょう。
楽しいタクシードライバー生活を
タクシードライバーになった人、また経営側の人も口をそろえて言うのが、「最初の3か月の重要性」です。働き始めても、何割かが最初の一か月で辞めてしまうという現実も、確かにあります。
ほとんどの場合が、「もっと楽だと思った」という意見があります。しかし、タクシードライバーに限らず、楽に稼げるという仕事が、この世に存在すると思う方が間違いでしょう。
労働はいつもキツく、大変なものです。どの仕事でもそうですが、最初の3か月を越えてしまうと、だんだんと慣れというものが出てきて、最初の時ほど大変には感じれなくなるものです。
とりわけタクシーの運転手の仕事は、覚えることが沢山あるわけではありません。ひたすら運転をして、人を目的地まで送り届けるというものです。つまり、そのパターンさえ覚えてしまうと、後は日々変わる情報を元に、同じことを繰り返し続けるだけというような仕事です。
長く続けるほどに、仕事は楽に感じられるようになり、また毎日違う人々を乗せ続けることが楽しいと思えるようにもなっていく事が多いです。会社の方もそれを分かっているので、出来るだけ3か月はもって欲しいと、様々な方法を志向錯誤するのでしょう。
そのうちの一つが、今回のテーマになった「支度金」、「入社祝い金」というものです。「怠けれる楽な仕事だ」という誤解さえしない限り、タクシードライバーほどに自由度が高く、大きな金額を稼ぐことも出きるような仕事は、中々ないということを理解できるようになるでしょう。
支度金や、入社してすぐにもらえる祝い金でも3か月後などに支給されるものもあります。
また家を借りるための好条件の借入金、または会社の寮などといった多くの仕組みを上手に利用して、後悔のないタクシードライバー生活を楽しむための土台を、最初にしっかりと作るようにしましょう。