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タクシー運転手の給料体系とその仕組み

最終更新日 2021年3月8日

監修・著者 株式会社しごとウェブ 佐藤 哲津斗

A型賃金は、会社側が定めた、一定額の基本給を固定させて支払う金額に、さらに歩合給をプラスした金額を給料として支給されるシステムです。

固定給の中には、諸手当の金額も含まれて計算される場合が多いようです。

また歩合給は、仕事をして売り上げた金額の何パーセントかを、給料に反映させる仕組みのことです。そのため、当然働き手によってこの金額は変わってくるので、固定給は同じでも、歩合給が多い方は高給取りになるわけです。

また働く年数が長くなると、昇給して固定給が上がる事になり、基本給だけで給料は安定的にもらえるようにもなります。さらにこの月々の給料の他に賞与が支給される事もあるようです。

このようなことから、基本的には売上を出すと給料は上がるものの、固定給だけでも十分給料をもらえることになります。このような給料体系は一般的なサラリーマンが受け取れる給料体系と似ています。

とくに固定金額が最初から決まっているので、これまでサラリーマンとして給料をもらってきた方の場合、違和感のない給料体系と言えるでしょう。

しかし固定金額が定まっていると、会社側が固定給を上げていくのが大変になるため、現在はこの給与体系を取り入れる会社は少なくなっています。

やはり固定した支払いの部分が多くなると、会社全体の売上額に関わらずに支給すべき額そのものが増えていってしまうので、場合や状況によっては会社が大赤字になってしまうのです。

会社にとって、負担やリスクが高い体系といえます。そうなると、社員の給料は減り共倒れになってしまう事が考えられます。

そのため、近年このような給料体系は取られなくなっているのです。もちろん、このような体系で給料を支払う会社があると、安定した収入を得ることが可能になるでしょう。

A型賃金のメリットとデメリット

A型賃金体系のメリットは、やはり収入が安定しているという点でしょう。固定給は、最初から必ず支給される事になるので、しっかりと業務をこなしていると、売上に影響されることなく、給料が安定的に支給される事になるのです。

しかも勤続年数が長くなると、固定給も上がっていく場合が多いので、収入はどんどん増えていく計算です。しかも長く働くことによって、売上を出すコツも掴んでいくこともあるため、歩合の部分も稼げるようになって、トータルでの収入は加速度的に増えていく計算になります。

とくに未経験で入社した場合は当然、売上を出すことは難しいので、最初の数ヶ月も安定して固定給をもらえるのは有り難いところです。さらに賞与まで支給されるとなると、この体系の会社で働くことは、かなりの収入になることがわかります。

安定したい方にはもってこいでしょう。しかしデメリットも存在しています。この給料体系は会社側に負担が大きい為、この方法を取り入れている会社がほとんどなくなっているという点です。

昨今は燃料がどんどん上がってきており、不況が続いてタクシー売上も伸び悩んでいると言われているので、そのような影響をまともに受けてしまい、給料を支払うことが難しくなってしまうのです。さらに固定給がある給料になると、歩合率が下がるというデメリットもあります。

せっかく稼いで会社の売上に貢献しても、それが自分の給料に反映しづらくなるのです。固定した金額を給料としてもらえる反面、頑張って働いた成果が出ないのは、働くモチベーションに影響するのではないでしょうか。

会社にとっても働き手の側にとっても、デメリットが少なからず存在しているので、現在はさらに他の給料体系が取られるようになっているのです。

B型賃金について

B型賃金は、出来高払いが給料の全てとなる支払い方法です。完全歩合制なので、売上がそのまま収入に反映されていきます。そのため、歩合率はA型やAB型に比べて最も高い割合になります。

おおよそ売上に対する6割程度が給料に当てられているようです。この形態の会社は、未経験者よりも経験者に人気があります。やはり経験豊富なドライバーは稼げるので、歩合率が高いほうが良いに決まっています。

それで実力のある方には特に、やりがいのある給料体系といえるでしょう。A型賃金を採用している会社は減少傾向ですが、このB型賃金を採用している会社はまだまだ多数あります。

その理由は、会社側としても固定給を最初から定める必要がないので、賃金支払いの負担が軽減されるからです。

またシンプルな体系でもあることから、結果がすべてというわかりやすい構図になっているのも、大きな特徴といえます。

しかし会社によって歩合率や諸手当など細かな点は変わってくるので、事前に求人表で調べたり、面接などで直接確認するなどと良いでしょう。

それによって、おおよその計算を立てて収入が見込めるようになるでしょう。何しろ定まった給料の部分が全く無いので、働き方で給料は大きく変化します。

独身では毎月の収入にバラつきがあっても差し支えないとしても、家族を養う立場の方には収入が安定していない場合には、生活が不安定になってしまうでしょう。

高収入を目指すとしたら、B型賃金体系は魅力的であり、働きがいがある仕組みと言えるでしょう。

B型賃金のメリットとデメリット

B型賃金体系で働くメリットはやはり、稼いだ分だけ給料になっていくことでしょう。毎月稼いで出した売上で、その月の給料が目に見えて明らかになるので、頑張りがいもあります。

そのため、非常にやる気にさせてくれる働き方ではないでしょうか。モチベーションを上げてくれるので、より働き方に磨きがかかり、どうすると売上を出せるのかに集中出来る形態です。

その結果、タクシー業界で年平均年収400万円程度なのが、その2倍の800万円やそれ以上の収入に繋げるなどということも夢ではないのです。これは確かにドライバーにとって夢のある話ではありますが、会社側にとってもメリットが大きいと言えます。

売上をどんどん出してくると、会社の利益として計上されていくからです。そうなると、会社の福利厚生を充実させていくことも可能であり、新たなことに挑戦出来るようになったり、資金を別のことに運用させるなどといった事業拡大も望めるようになります。そのため、B型賃金を取り入れることには、大きなメリットがあることがわかります。

もちろんその反面デメリットも存在しています。それは売上が伸び悩むと、そのまま給料に影響が出てしまうという点です。当然ながら売上=給料なので、売上を出せないと、働いていないのと一緒になってしまうのです。

結果的に給料が安定せず、生活が不安定になってしまいます。もちろんその月の収入が0円になることはないにしても、給料が大きく下がってしまうことも考える必要があります。

またこの働き方では、賞与も出ないことも思いに留める必要があるでしょう。完全に、働いた成果のみの給料体系なのです。これはデメリットといえるでしょう。

家族を養う立場の方は、安定を求める事が普通であり、求人で探す時には、B型賃金の会社なのかについては、しっかりと見定める必要があります。それによって、単に歩合率がいいから、というだけの理由で働き始める危険を避けられるでしょう。

AB型賃金について

AB型賃金とは、歩合率として得られる歩合給の一部をプールして、年何回かある賞与のときに受け取れるという給料体系のことです。いわば毎月会社に、積立をしているようなものです。

このような給料体系が、最近増えてきています。通常売上に対する6割程度が歩合として給料に反映されるようになっているのですが、そのうちのいくらかを、例えば1割を4ヶ月間プールして、差額を支給することになります。

このプールの割合は会社によって違うので、AB型賃金制度を設けている会社であっても、事前にその割合をしっかりと確かめることは重要です。

そして売上の何割かが会社側にストックされるということは、売上をいくら出したかによってプールされる金額は変わってくるということがわかります。

つまり4ヶ月に一度受け取る賞与額は、自分の頑張ったご褒美のようなものです。しかも4ヶ月間の売上に変動があったとすると、B型賃金の場合は毎月の収入が変動することになるのですが、AB型賃金の場合は売上の一部がプールされるため、毎月の給料自体はある程度定まった額になります。

このように、毎月比較的固定化された給料を貰う計算になります。一般的にタクシーのお仕事は収入が安定しないという見方があるため、敬遠される場合も多いのですが、この給料体系では毎月受け取る金額が安定するので、安定的に働くことが可能です。

しかしこのような会社であっても、固定給はほとんど設定されておらず、基本的に出来高払いの歩合給である会社もあるため、注意が必要です。

またその逆で固定給がしっかり設定されていて、売上の部分からいくらかとり分けておき、賞与の時に支払う会社もあります。このような状況を考えると、会社ごとのシステムをしっかりと事前に把握することの重要性がわかるでしょう。

AB型賃金のメリットとデメリット

AB型賃金のメリットは、年3回ないし4回は賞与があるという点でしょう。売上をたくさん出して給料に反映させていても浪費癖があるような方は、すぐにお金は無くなってしまいます。

しかしこの賃金制度では、会社側で稼いだお金をストックしてくれるため、日頃から稼いだお金をそのまま浪費してしまうことを防げる仕組みになっています。

しかも賞与の金額は、4ヶ月間の自分の努力の成果と言えるので、目に見えるご褒美をもらえるようなものです。

また会社側にとっても、この賃金制度にはメリットがあります。通常雇われた方のための社会保険料を、会社が国に支払うわけですが、毎月の給料の額が賞与の分のために減らされているため、社会保険料を抑えることが出来るのです。当然賞与が支給されることは、歩合給がほとんどのタクシードライバーにとって嬉しいことです。

また貯蓄を増やしたい方にとっても、この賃金体系は魅力でしょう。このように双方がwinwinの関係でいられるため、タクシー会社のほとんどはこの賃金体系をとっているようです。

一見メリットが強いように見えるAB型ですが、デメリットも存在しています。もし売上をどんどん出せるような、やり手のドライバーであれば、稼いだ分だけ給料に反映させて欲しいものですが、AB型では毎月の給料が比較的固定給に近いため、稼いだ分全てが給料に反映されるわけではない事になります。

そのため、この形態では成績の良い方の働くモチベーションを保つのは、大変になってしまうでしょう。またAB型と一口に言っても、完全歩合給でいくらかをプールするスタイルなのか、固定給が定められていて歩合の分をストックしておくのか、どちらかに別れます。

しかしこの差は、求人情報を見ただけではわかりづらいため、直接確認を取らなければなりません。面接のときまではっきりとしないという点では、デメリットになるかもしれません。

歩合率について

A型、B型、AB型のどの給料体系でも、売上に対する歩合を給料として貰うことが可能です。では歩合が高い場合には、そこは優良な会社ということになるのでしょうか。必ずしもそうはいえない、というのがその答えです。

例えばA社では歩合率が60%でB社は65%だとしましょう。これだけを見ると、B社で働いたほうが沢山稼げるようにみえます。しかしこの情報に加えて、A社はA型賃金制度でB社はB型賃金制度だとするとしたら、どうなるのでしょうか。

たしかにB社のほうが売上に対する歩合率は高いものの、完全歩合制という面があります。ある月は100万円を売り上げて65パーセントの65万円を受け取ったものの、次の月は売上が50万円に落ちてしまい、歩合の32万5千円しか受け取れないといったことが生じ得ます。

この場合、ふた月の合計給料は97万5千円になります。しかしA社がA型賃金制であり、月の固定給が50万円だとすると、それだけでふた月で100万円を受け取れる上に、さらに売上の60パーセントを受け取ることが可能なのです。

このように考えてみると必ずしも歩合率だけでその会社の善し悪しを決めることは出来ないことがわかります。

そのため、その会社の賃金体系がどうなっているのかについて、しっかりと確かめる事は前提と言えるでしょう。その上で、自分の頑張った働きがどれくらい給料に反映されるのかを、確かめられるようになるのです。

いくら売上に自信のある方でも、毎月何百万円も稼げるわけではなく、売上が落ちる月もあるでしょう。そのため、固定給としてもらえる給料がある会社を選ぶ事には、大きなメリットがあります。

もちろん完全歩合制の会社は歩合率が高いので、働いた分の見返りを求める方には向いている会社になるでしょう。やはり、自分の働き方に合った会社を選ぶ事が重要なのでしょう。


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