会社員は幸せな職業とは限らない
最終更新日 2021年3月8日
監修・著者 株式会社しごとウェブ 佐藤 哲津斗
会社員のメリットは安定性です。会社がよほどの危機に陥らない限り、安定して仕事を続けることができ、しかも会社に行くだけで業務を始めることができます。これを大きなメリットと考える人も当然多くいますし、仕事には向き不向きもあります。
業務内容も給与も安定性が特徴の会社員ですが、タクシードライバーの場合は幾らか異なります。お客さんを乗せて走り回らないといけませんし、それだけでなく観察力を培って車内のお客さんの様子や通りで待っている方に注意深くある必要があります。
こういった仕事のスタイルを辛く感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし会社員と違ってオフィスでこもる必要のない仕事です。
街を知る仕事
主に都市部での勤務がメインとなりますが、日中の街の様子や人の流れ、お客さんが目的地について出かけていく様や夕日や景色など、仕事に刺激を与える要素で満ちている仕事でもあります。
どうしても運転が嫌いという方には残念ながら向いていない職種ですが、車を転がすことが苦痛でない方や運転が好きな方、街や道路、ルートを覚えることが好きな方にはそれ以外の魅力も感じられる仕事です。
慣れれば道を探したり渋滞を避けたりするのも苦ではなくなります。そうして運転技術以外の道の組み合わせや最善のルート、渋滞を避ける技術、乗客に快適に感じてもらうための加速・減速の操作技術など、運転のプロとして磨ける要素は多く、それらは決して難しいことではありません。
そうして運転する街はいつもの雰囲気と違い、街角の小さな変化にも気づくことができるようになります。細かいことですが、そうして日々業務に取り組むことは自身の観察力の向上にもつながります。タクシー会社から始めれば初期投資もかからず経験を積むことができます。
安全運転と先見の明
慣れると危機管理の意識が薄れるのが何事においても問題となり得ますが、こと運転に関してはそれが事故に直結します。お客さんの安全第一で仕事を進める必要があります。乗客を喜ばせることができるのはこの仕事の喜びとなる一面です。
タクシーを探している人は予定通りに物事が進むことを望んでおり、目的地に無事到着すると心の中では安心感を感じているものです。お客さんのプライベートを詮索することは基本的にしませんが、それぞれの生活や仕事の予定を支える陰の立役者としての役割があるのがタクシードライバーであり、社会をまた違った一面から見ることができます。
これらは普段の運転でも身に着けることができます。会社員として通勤しているルートは、いつも決まった時間帯に決まったルートを通ることが多いはずです。
どこでいつも信号に引っかかっているか、信号から信号へとかかる時間はどれぐらいか、電車であってもどこをどれぐらいの時間で移動すれば間に合うかなど、体が自然と覚えていくものです。それと同じように、タクシードライバーの業務ではそれを公道上で行い、それらは日々の生活にも役立ち、日々の運転が業務にも生かされます。
人の命を預かる仕事
タクシードライバーとしての適正は運転技術や接客などが関係していますが、こういったルートの選び方、時間の短縮の仕方も求められます。運転はただ事故をしないということではなく判断力を適切に働かせるということです。
路上には危険が満ち溢れています。こう表現するといかにも難しい職業のように感じますが、現実的に事故の危険は年数や経験に関係なく付きまといます。それらをすべて回避していくには相応の集中力や判断力が求められますが、無事故で切り抜けた時の達成感もまた大きいものです。
それは単なる運や偶然だけに寄らず、危険な状況を察知し先を見通すことで初めて達成できる結果です。このような技術を磨くのは、運転が嫌いでなければ楽しい作業になります。運転自体は自分一人でコントロールできますし、安全な運転は感謝されます。
オフィスで働く仕事にもメリットがありますが、タクシードライバーのそれとはかなり異なっています。タクシードライバーの仕事に打ち込み、色んな人との出会いを楽しむことができれば、この仕事は天職になり得ます。接客に関しても、必ずしも無理して話をする必要はありません。
お客さんが静かにしていたいという時もありますし、それはその状況次第です。ですので接客はそれほど得意ではないという方でもいつも無理を強いられることもなく、安全な運転をしていればまずは一定の評価を得られるのもこの仕事の良い面の一つです。
まとめ
タクシードライバーはわき役の仕事のです。あくまで乗客が主役ですが、陰で支える違った楽しみ方ができる仕事でもあります。