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タクシーの運転手に必要な2種免許取得費用の負担は

最終更新日 2021年3月8日

監修・著者 株式会社しごとウェブ 佐藤 哲津斗

2種免許とは、正式には「普通自動車第二種免許」といいます。乗客を運ぶという目的で自動車を運転する場合、そのために必要な資格となっています。この資格が無いと、乗客を乗せてお金をもらうという仕事は出来ない事になっています。

この資格が無いまま、この類の仕事を行うと法律違反となってしまいます。そのため、タクシードライバーとして働く場合、例外なくこの資格の取得が必要になります。二種免許はタクシーだけでなく、バスやハイヤー民間の救急車なども含まれます。

どの形態の自動車で人を乗せる場合でも、共通しているのは人の命を預かる職業になるということです。そのため、一種免許のように、自分が運転する資格よりも幾分取得のための条件が厳しくなります

とはいっても、日本全国のタクシードライバーが取得している資格なので、とてつもない難関というわけでも無いので、ご安心ください。しかし、年齢制限はあります。満21歳以上の方でないと、資格を取れないことになっています。

そして、運転経歴が3年以上経過している必要があります。やはり人を乗せる事になるため、運転の熟練が求められています。

とかく若い人はスピードを出し過ぎてしまったり、道路交通法をしっかりと理解していないために、事故を起こしやすいと言われています。そのため、一種免許取得後3年は運転技術を磨き、より熟練したスキルを身につける事が必要と見られているのでしょう。

さらに視力についても、片目で0.5以上、両目で0.8以上と定められています。これも一種免許よりも多少厳しくなっています。また、赤黄青の色彩が識別できることも条件の一つです。信号機の区別がつかないと、とんでもないことになりますからね。

さらに聴覚も、10メートルの距離で90デシベルの警告音が聞こえること、という条件が付いています。そして二種免許には一種と同じように、AT限定で取得することも可能です。

AT車主流の時代になっているため、タクシーもMT車よりもAT車が増えてきている実情を考えると、AT限定で取得しても差し支えないでしょう。

2種免許取得方法

二種免許取得方法は2通りあります。一つは教習所に通って取得する方法です。この方法が一般的でしょう。ほとんどのタクシー会社では、二種免許取得のための会社指定の教習所があります。

タクシー乗務未経験で入社した場合、まず最初に教習所通いが始まることになります。大手のタクシー会社の場合は、自社で教習所を保有していることもあるのですが、いずれにしても教習によって技能試験をクリアします。

その後、各都道府県にある免許センターで学科試験を受けることになります。平成14年の法改正に伴って一種免許と同じように教習所で技能試験をクリアすると、免許センターでの実技試験は受けなくても良くなっています。

二種免許取得のための教習は二段階教習になっており、第一段階で学科7時間、実技8時間です。第二段階では学科12時間、実技13時間となっています。教習所の方で予定を組んでくれるようになっており、その予定に沿って学科や実技を受けていくことになります。

おおむね2週間で終了するのが相場のようです。とはいっても、朝から夜まで日程を組まれるようになっており、免許取得のための期間はタイトなスケジュールになることが多いです。さらに教習所では住民票、本人確認書類、印鑑、筆記用具、健康保険証などの書類も必要なので、あらかじめ用意すると良いでしょう。

ここまでで二種免許取得のための一つの方法でした。教習所での取得には20万円~25万円ほどの出費になります。そしてもう一つの取得方法は、運転免許試験場に赴いて技能試験と学科試験を受けるという方法です。

この方法を取り入れている会社もあるようです。会社側のメリットは、取得コストを大幅に抑えられることです。教習費用が無いので、試験手数料の9700円(受験料、試験者使用料、免許交付料金含む)だけで済む事になります。

とはいえ、試験会場で一発で合格することは難しいようです。そのため、何度か試験を受けることになるのがほとんどのようで、教習所通いという確実に取得できる方法を選択する会社が多い状況になっています。

会社全額負担で取得できるケースが多い

二種免許取得のための費用は20万円~25万円ほどであり、入社していきなりこのお金を払うのは厳しいものがあるでしょう。実際自分で全額払うとなると、その資金がない方はタクシードライバーになれないことになってしまいます。

そもそも資金がある人は、タクシードライバーという職業を選ばない、という事も考えられます。就職しやすいという理由で、タクシーダライバーを選ぶ人が多いからです。つまり、資金が無いとドライバーになれないなどということになると、タクシー会社としても、必要な人材を集められなくなってしまうことになります。

とかく若いドライバーの場合、タクシー乗務員になりたくてもお金がないということは考えられます。初期投資の問題さえ解決されることになると、若い人も呼び込めるようになるわけです。それでタクシー会社では、二種免許取得に必要な費用全額を、会社で負担することにしているようです。

会社側としても稼いでくれる人材が必要であり、20万円を投資してもその分を稼いでくれる事によって、元が取れる事になります。

そして、転職を考えている方も、二種免許を無償で取得出来ることになり、さらにタクシードライバーとして働き、給料も得られる事になるので、双方にとってメリットになっていることがわかります。

したがって、二種免許を持たずにタクシー会社に就職した方が、会社全額負担で取得する事はメリットが大きいといえるでしょう。

さらに取得期間は、会社公認の中で集中して運転のイロハを学べる事になるため、この先の運転技術を磨いていくためにも、基本をしっかり身に付ける点でも、教習所に通う時間は貴重になるはずです。

そして教習2週間の間に、運転手としての自覚も身につき、責任感も芽生えてくるでしょう。とはいえ、会社が全額負担してくれる事を考えると、一発で全てパスして合格したいものです。

何度も落ちる事になると、会社の負担も大きくなって、当人のドライバーとしての資質も問われることになるので、相応の覚悟で臨む必要があるでしょう。

会社全額負担のデメリットを理解しておく

二種免許取得のために会社が全額負担してくれるという事は、美味しい話のように感じられ、何かデメリットもあるのではないかと不安に思われるかも知れません。もちろん会社としても負担を背負って働いてもらう事になるので、それなりの条件を要求する事もあります。

例えば、在籍期間の縛りです。これは二種免許取得費用を会社が負担する代わりに、一定の期間はこの会社で働いてくださいね、という縛りを設けるというものです。この縛りを設けている会社は、2年に設定しているところが多いようです。

2年働いてくれると、負担額も元を取れるという計算になるようです。そのため、2年間は辞めることができないので、今後の不安を考えると、躊躇してしまうかもしれません。

もし途中で会社を辞めることにした場合、二種免許取得費用の返済を求められる場合があります。全額を請求してくるケースや日割り計算で請求してくるケースもあるようです。

入社して働き始めたものの、会社の雰囲気や働き方、福利厚生が良くない、ご自身の病気や身内の問題などといった理由があって、働き続けられなくなることもありえます。それを踏まえると、2年縛りはデメリットと考えられます。

そのため就職するにあたって、早期退職に至った場合の様々な条件も、しっかりと認識する必要があるでしょう。もちろん、長く働くつもりで就職したのであれば、2年はあっという間でしょう。また、ようやく勤務エリアの道にも慣れてくる頃ともいえます。

さらに会社負担のデメリットとして、会社が先に費用を負担し、その後給料から数年かけて天引きするといったこともあるようです。この場合、結局会社から費用を前借りしているだけで、自分で費用を負担していることに変わりありません。

給料が減ることになるので、二種取得の方法を自分で選べるとしたら、メリットと言えます。このような事柄を踏まえると、会社全額負担の条件がどのようなものなのかをしっかりと把握することは、非常に重要な事といえます。

その上で、会社に負担してもらうべきか、しっかりと考えると良いでしょう。

教習中の日当について

会社に就職すると、すぐに教習所通いが始まることになります。その間約2週間、勉強と実技の日々になるので、売上を出すことはできないことになり、会社の売上に貢献することも出来ません。当然、売上とは縁のない期間になるわけです。

とはいえ、授業を受けていても教習中でも、会社に雇われている期間に変わりは無いため、ある程度の給料を支払う会社がほとんどです。

その期間は日当という形で給料を支払う会社が多いようです。相場は5000円~1万円程度のようですが、会社説明の際にしっかりと確認すると良いでしょう。

その際、日当支払いの期間は定められています。例えば会社側で教習のカリキュラムを組んでおり、それが14日となっているのであれば、14日分の日当が支払われることになります。

しかしこの14日間は、全て順調に教習が進んで行った時の期間です。教習期間の学科や実技で落ちてしまったり、卒業検定が再検定になってしまったり、免許試験場での学科試験が落ちてしまったり、といった事も十分考えられます。

その場合、二種取得のための余分な費用は会社が持つものの、日当が支払われずタダ働きの時間を過ごすことになってしまいます。そのため、会社負担の教習所通いは、決して楽なものではないことがわかります。

一発で合格するくらいの意気込みで自分にプレッシャーをかけていく必要もあるでしょう。会社も早く働いて、稼いでもらいたいはずであり、なるべく試験の不合格は避けたいものです。

とはいえ、二種免許は一種免許よりも難しいものなので、安易な気持ちで受かるものではありません。何度も落ちているという方も中にはいらっしゃるようです。合宿の場合は、朝から夜までみっちり頭を使うことになるので、尚更大変な2週間になります。

さらに二種免許取得だけでなく、会社の中での更なる研修が行われます。したがって教習所通いは、タクシードライバーになるための一歩に過ぎないことを、しっかりと認識して取り組んでいきたいものです。

個人で取得することもできるか

もちろん二種免許は、会社に関係なく取得することが可能です。2年縛りに捕らわれたくないという方も、当然いらっしゃると思います。年金生活が始まった方が新たに転職してドライバーを目指すような場合、2年の期間に何が起きるかわからないでしょう。

大卒の方がタクシー会社に就職したとしても、自分に合わないと感じて退職するケースもあります。二種免許そのものはずっと使える資格であり、もっているだけでもその後の就職活動に大きく役立てられます。そのため、先に二種だけ取得してしまおうと考えることも可能です。

また、会社に費用を負担させてしまうのは嫌だと考える方もいらっしゃると思います。長期で同じ会社で働くにしても、二種免許は会社が持ってくれたと考えると、貸しを作ってしまったと感じるような場合です。

そのため、自分の費用で負担したほうが気楽だという見方もあります。その場合、自宅から近い教習所を選び、自分のペースで教習所通いを行うことも可能です。こうした利点があるために、個人取得を選択される場合もあります。

しかし、二種免許取得のためのコースを持つ教習所は少ないため、インターネットなどでよく調べてみる必要があるでしょう。もちろん免許試験場に直接赴き、自分の資金で試験を受ける事も考えられます。

しかし、その方法は難関と言われているため、よほどの自信がある方でないと難しいでしょう。また安全運転や、確実な送迎スキルを身につけるための良い方法は、教習所で習えるようになっており、このような点もよく考える必要があります。

また個人で二種を取得しようとした場合に、会社側の研修カリキュラムとの兼ね合いを合わせることが必要なので、十分な話し合いが求められるでしょう。もちろん、会社に就職する前に二種を取っておこうという考え方もあるでしょう。

時間を十分かけられ、会社に急かされて取得する必要がありません。そのため、じっくりと技術を身に付けることが可能です。

とはいえ、費用は自己負担であること、研修等の支援が得られないなどといったデメリットを十分考慮した上で決める必要があるでしょう。


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