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60代からタクシー運転手への再就職も可能

最終更新日 2021年3月8日

監修・著者 株式会社しごとウェブ 佐藤 哲津斗

ネット上でタクシードライバー求人を見ると、ほとんどの場合写真が付されており、ドライバーが笑顔で映し出されています。

こうした写真には若い人も多いのですが、大概写っているのが50代、60代のドライバーです。

しかも転職してまだ数年という場合も多いです。そうです、タクシードライバーは60代の方が多いんです。これはデータからも明らかです。タクシードライバーの全国平均は57.6歳です。

これは平均なので、都道府県別に見てみると、50代後半から60前半位が目立ちます。高知県の平均は64.9歳となっており、高知県のドライバーのほとんどはこの年代なのでしょう。

そのため、定年後に転職するのは難しい時代でも、タクシードライバーにおいては可能と言えるでしょう。

実際この年代の現役ドライバーが、高卒や大卒からずっとタクシー一筋で働いてきたという方ばかりではありません。転職されたケースは少なくありません。データを見ると、タクシードライバーの平均勤続年数は8.8年です。

つまりこの年代のドライバーでも、50代から始めたことになります。そのため、職場の雰囲気は若いエネルギーが溢れているというよりも、酸いも甘いも経験を積んで大人になった人たちが集まった、大人な雰囲気といえます。

もし、タクシー業界へ転職しようと考えている方の場合、こうした業界の状況や現状を知ると、より安心出来るのではないでしょうか。

また職種は違えど、転職した同じ境遇の方たちとも会話が合う傾向が強いでしょう。また、仮にコミュニケーションが苦手な方であっても、出勤時と退勤時にのみ会社に顔を出すだけで良いので、比較的働きやすい環境ともいえます。

体力的な負担が少ない

定年後に新たな仕事を始めるというのは大変に思われるかもしれません。それが週5日や週6日出勤だとしたら、体力的にも厳しくなってしまうでしょう。そのような勤務形態では、働き続けるのは難しい事になります。

しかしタクシー乗務にはいくつかの働き方があり、自分の体力に合わせた仕事のスタイルが可能なのです。その一つの形態は、サラリーマンと同じような日中働く働き方です。タクシーの仕事は朝早い時間帯から需要があるため、出勤時間は早いために退勤が早くなります。

その分、一日を多く使えるメリットがあります。夜勤勤務もありますがpm7:00~翌am3:00までに限られるので、夜働くのが大変でない方の場合、このような働き方も良いでしょう。また、サラリーマンにはない隔日勤務もあります。

この形態は、タクシー会社の主流となっている働き方で、例えばam7:00~翌am3:00まで、他にもpm4:00~翌am12:00までなど、一回の出勤時間が20時間程度で、休憩が3時間という働き方です。一回の出勤が長いのですが、その分出勤回数が減ります。

月に概ね11乗務~13乗務となっており、月の半分以上は休みになるので、体力的な負担を減らすことが可能です。それでも体力的にきついと感じる方には、定時制というものもあります。

いわゆるパートやアルバイトのようなポジションです。これは正社員の就労時間より1/4少ない3/4以下であることが定められています。そのため、日勤や夜勤の場合でも、月に16乗務程度であり、隔日勤務なら月8回までとなります。

この程度と考えると、体力がなくなってきたと感じる60代でも、十分に働くことが可能なのではないでしょうか。

年金と併用して働ける

この年代になると考えるのが、年金受給ではないでしょうか。原則65歳から受け取れるようになるとはいえ、現在は70歳までの繰り下げが可能になっています。そして受給額は十分とはいえない、という見方をする方も多いです。

このような実情を見ると、年金をもらうまでの間だけでなく、年金生活が始まってからも仕事をしなければいけないという不安もあるでしょう。この点、タクシードライバーは年金と併用しながら働くことが出来るんです。

実際にできる仕事はあるとしても、体力的また精神的にきつかったり、必要な収入が得られなかったり、逆に働く量が多かったりする場合があります。しかしタクシードライバーの仕事は、運転することがメインで、それほど体力を使うわけではありません。そのため、年金暮らしに併せて働くのにもってこいといえます。

しかし注意すべき点もあります。それは収入が年金を含めて月28万円以上になってしまうと、年金受給額が無くなってしまうという点です。例えば年金受給が月10万円の方の場合、仕事で得られる収入は18万円までとなります。

タクシードライバーの年収平均は400万円と言われており、この数値は月30万円を超えています。そのため、年金受給を考えると、その半分程度の収入分しか働いてはいけないことになります。例えば隔日勤務の方の場合、通常13勤務のところを8乗務以下程度に抑える必要があることを意味します。

ということは、社員として働くよりも、パートやアルバイト形態の定時制で雇ってもらう方が良い、ということになります。

勤務エリアの道を知らなくても働けるので安心

タクシー業界へ転職の際、不安に感じる事として、道を覚えられるかいった所があるでしょう。せっかく乗客を乗せたのに、行き先が分からず迷惑をかけてしまうのではないか、急に別のところに行き先を変えられたりした時に対応できるのか、など不安は尽きないかもしれません。

しかも定年した後からの転職となると、新しく何かを覚えるのは至難の業です。道順を新しく頭の中にインプットさせていく事は、非常に難しい事と感じられるでしょう。しかし考えてみると、タクシー業界では、多い事がわかります。

しかも転職するのは若い時ではなく、ある程度年を重ねてからのことです。ではどのようにして道を覚えているのでしょうか。実は覚えてはいないのです…と言うと語弊がありますが、覚えようと思って覚えるというよりも、自然と覚えていくという流れが自然でしょう。

その理由は、現代の運転者必須アイテム、カーナビゲーションシステムがあるからなんです。お客様を乗せた時に、目的地をすぐさま入力してしまうと、あとは勝手にナビが道順を教えてくれます。

しかもナビの示す道から外れてしまっても、再ルート検索があり、道が混んでいる時間帯や場所を避けて目的地までのルートを示してくれたりします。これほど便利なナビが車載されているので、安心して働けるようになっています。

そして、働き始めてから仕事をこなしていくうちに、自然に自分の担当エリアの道を覚えられるでしょう。担当エリアであれば、乗客がよく使う場所や目的地があるため、そのような道順は毎回同じです。車を走らせる回数が増えるほとに、道も詳しくなっていくため、それほど心配する必要は無いのです。

運転経験さえあれば働ける!

タクシードライバーに転職しようと考えているような方の多くは、一種免許はお持ちでしょう。またある程度運転が好きだったり、運転技術にも自信があったりするに違いありません。長年運転してきたという自負もあると思います。

そうでないと、タクシー乗務員を続けるのは困難かもしれません。この、運転できるという自信があるだけでも、タクシー運転手には十分なれるのです。他の免許や資格はなくても大丈夫です。

後述しますが、タクシードライバーに必要な二種免許は、就職後でも取得できるようになっており、一種免許があると、ひとまず就職確率は高くなります。さらに資格ということだけでなく、タクシー業界でのスキルがなくても、稼げるという点も、運転経験だけで働ける理由になります。

これは業界の年収平均が400万円であることからわかります。何十万人も働いている世界で、これだけの収入は得られるという基準になります。そのため、稼ぐためのマニュアルやポイントはすぐに得られるということです。

そもそも歩合制であることが多い業界の給料制度ですが、お客様を見つけて乗せるだけが仕事ではありません。お客様の方からの電話であったり、無線システムによって、乗客に最も近いタクシーが呼び出されることもあります。

稼ぐ方法を敢えて知らなくても、とりあえずは働けるのです。そうです、運転経験さえあれば働けるのです!

二種免許は就職後に取得できる!

タクシードライバーになるためには、二種免許は欠かせません。

しかし転職希望者のほとんどはタクシー未経験であり、資格すら持ってもいないことも少なくありません。それでも業界全体に転職者が多いということは、二種免許は持っていなくても就職できるということがわかります。

そして、この年代であっても心配いりません。しっかりと教習所に通って取得するものであり、短期間に学べるものでもあります。仕事をしながらというわけではなく、集中して資格を取るための勉強が出来るようになっています。

その間、日当がしっかりと支払われる会社が多く、二種免許取得費用も会社全額負担である場合が少なくありません。そのため、二種を持っていないとしても、不安になる必要はありません。会社側でしっかり援助してくれる体制が整っているんです。

そして、タクシードライバーになるためにこの二種免許取得だけが必要な絶対条件なので、最初この取得だけに集中してしまうと、年収400万円稼ぐだけの仕事をこなしていける事になります。

その他の技術は資格というよりも、実際に運転したりお客様との対話の中で自然と身についていくものでしょう。また会社側でも様々な講習会を開いてくれていたりするので、その都度必要な情報を学べるようになっており、安心して働ける環境と言えます。

50代、60代のドライバーが多いことも、このような理由から理解できるのではないでしょうか。

定年制度がない!

タクシー業界が他の業界と異ならせているのは、定年制度がないという点です。つまり何歳までも、自分が辞めたいと言うまで続けられるのです。これは業界の平均年齢が高いことからもわかります。

通常会社で働いていると、65歳で定年を迎えることになるため、それ以上は働きたくても働けない事になってしまします。こうしたことを考えると、定年後に再就職を考えている場合に、転職先にタクシードライバーを選ぶ事が多いというのも頷けます。

70代になってからも働いている方が多く、50代から働き始めたとしても、その先20年は給料をもらい続けられることになります。これは非常に良い条件と言えるでしょう。しかも体力を使わずに済む状況も、長く働ける条件を満たしています。

また勤務形態も豊富であり、日勤で働くことも、夜勤を選ぶことも可能です。さらには定時制で働き、余生を趣味や娯楽に使いつつ、必要なお金を稼ぐといったことも可能です。

このように、若い方だけでなく60代の方にも働きやすい形態があるために、転職を考えている方におすすめできる仕事といえるのです。また基本的に出勤の時に会社に赴くと、あとは自分の時間で動くことや、休みたい時に休むことも可能なのです。

マイペースに働けることもタクシードライバーの利点になるでしょう。現代社会においてまだまだ若く働ける世代であり、平均寿命も80代まで伸びてきていくので、健康を維持している限り、いつまでも働けるのです。これは大きな魅力と言えるのではではないでしょうか。

人間関係のスキルを活かせる

タクシードライバーにとって求められる技術の一つに、コミュニケーション能力が挙げられます。乗客を乗せて目的地に着くまでの間は、いわば接客の時間であり、乗客の安心や安全を第一に努めなければいけません。

コミュニケーションによって、安心を与えることが求められるでしょう。このような技術はすぐに身につくものではなく、時間がかかるものです。お客様の気持ちをしっかりと理解出来るようになる必要があるからです。

その点で、若い人は学生を卒業してからすぐに働き始めており、大人の世界で接客することに慣れていません。運転技術や覚えることには長けているかもしれないのですが、お客様とのコミュニケーション能力の面では弱さを持っていると考えられます。

このような分野においてスキルをより十分に活かせるのは、豊富な経験を持った方々になるでしょう。60代にもなると、すでに社会で働き人間関係のノウハウを経験によって身についている事が考えられます。

このような経験は、どの職業であっても役に立つスキルです。人間関係のない職場や仕事などありえないからです。そして、運転技術や覚える事柄が大変ということがお客様の目に止まるとしても、上手にコミュニケーションが取れることから、それがクレームになることは非常に少ないと言って良いでしょう。

それに年配の方の方が、乗客もより安心感を得られるという点があります。しっかり安全運転してくれるだろうという安心感に勝るものはないでしょう。

このような事柄を考えてみると、運転の技量があることと、人間関係のスキルを駆使していくことだけで、十分に稼いでいけるということになります。最も重要なのは、対話能力といったところでしょうか。


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